第27回高専プロコンに行ってきました.

前回, 高専プロコン旅行記 を書いたらルータ芸人(id:puhitaku)に

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こんなことを言われてしまったので,真面目に記事書きます.

自由部門・課題部門の見学した感想とか,競技部門に関して思うことをつらつらと書きました.


高専プロコンについて

アクセスは良かった.けど,建物が小さくて,特に自由・課題のプレゼンの場所が審査員以外ほとんど席がなくてプレゼン会場にすら入れないみたいなこともあった.去年の会場が広かったので,今年の会場設営に関わった人たちたくさん頭抱えたんだろうなと思った.来年は大きいといいな

協賛企業がめっちゃ増えていて,いろんな会社が高専生に注目しているんだろうなと思うと嬉しかった.高専って地方が多いので,やっぱり就活大変だし,高専プロコンみたいな場に企業の人が見に来てくれるのは就活的に楽になることもある(先輩にもプロコン関係から就職した人もいたしね).たぶんこれからもっともっと高専プロコンが注目されていくと思うし,選手にはこの機会をうまく利用して欲しいですね


自由・課題部門について

ラズパイやArduino といった小さいコンピュータを使うことで,小型なオリジナルデバイスを作る高専も増えていた.昔はどのチームもKinect ばっかり使ってるなあという年もあったけど,今年はoculus rift をめちゃくちゃ見かけた.今年の課題のテーマがスポーツだからなのか,そういう疑似体験をさせるにはぴったりだったんだろうなって思う.ちなみに去年のテーマ防災では,Beacon とDrone を使うチームが多かった印象.テーマにもよるんだけど,やっぱり流行っているデバイスとかをガンガン使っている印象だった.最近いろんなDrone の製品でたし,来年はまたDrone 増えるんじゃないかなーとか思う.とはいえ,Drone 使っちゃうとすごくデモが大変なのでデモのリスクを下げるためにやめちゃうかしら.


大きいシステムを作る高専

統計とかをとっているわけではないんだけど,昔よりも大きいモノ(ハードウェアがっつり)を作る高専が増えた気がした

東京高専の課題部門は,リアルなカヌー体験をするシステムだった(今回はカヌーだけど,座るタイプのスポーツならカヌー以外にも応用ができそう).自作の動く椅子(3Dの椅子)と4kディスプレイを5〜6枚使っていた.大変金の匂いがプンプンするシステムで,いろんな高専が「うちの高専ではこんなの作れないよ…」と言っていた.ちなみに,4kディスプレイは研究室にあるものを使って(椅子の費用聞き忘れた)制作人数が8人ぐらいと言っていた(記憶違いだったら申し訳ない).本当にあれを高専生が作ったのかと思うと感動した

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明石高専の課題部門も全身鏡の大きさのハーフミラーを使って,後ろからディスプレイで画面に女の子を映してダンスを踊るというシステムを作っていた.これが写真なんだけど,この写真全部ハーフミラーで(右半分しか写せていないのであと半分ある),あの矢印の先の女の子がディスプレイで映している女の子で,あの女の子が踊る.女の子に合わせて踊って,上のKinectモーションキャプチャして点数を出してくれるらしい.ダンスが上手になる前に女の子のファンになりそう(女の子はご当地のアイドルらしい).

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あとは,鈴鹿高専の課題部門のバタフライを支援するシステムも,胸のところのやつが空気で上下していて,バタフライの足はバランスボールをボンボンさせないといけなくて,腕はKinectで上から見て,更に写真ではつけていないんだけどOculus をつけて25mプールを泳ぐらしい.手の動きが重要で,それがだめだとプール上を進まないらしく,ゴールができない.結構大がかりなシステムだった(毎回デモするの大変だろうなあと思ったけど,見てて面白かった.感謝)

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授業の一環で取り組む高専

沖縄高専や久留米高専をはじめとして,部活単位でプロコンに挑戦するところもは多いと思う.あるいは,やりたい人たちが毎年プロコンの先生のところに集まって取り組むみ形態もあるみたいね.けど,今年びっくりしたのは授業で取り組んだ内容をそのままプロコンに持ってきているチームがいた.

豊田高専の自由部門「はたけまもる」と課題部門「360°Diver」は授業でやったプロジェクトなんだと.本当にびっくりした.第一にちゃんと動いてる.全然他の高専に劣らないレベルだった.授業のプロジェクトってここまで本気で作るもんだっけ…?すごい…という感想以外出てこなかった.実際にはたけまもるシステムを山に埋めてイノシシを検知することはできるのかという実験もしていたし,何より特別賞を受賞していた.豊田高専のエンジニアリングデザインⅡの授業,本当にすごいと思います.

授業のプロジェクトでプロコンに挑戦して,しっかりと受賞もするチームも出てきたし,部活単位で毎年挑戦しているチームは負けていられないなあと思った.母校もがんばりましょうね〜


受賞する高専

注意:完全に個人の意見なので,現役学生の参考にならないと思います

プロコンが重視しているのはざっくりいうとアイディア完成度なんだけど,わたしが感じるのはめっちゃでかくて派手なものが強いのかなーとか思ってしまう.プロコンはビジネスっぽさはそこまで重要視していないんだけど,なんか地域と協力する系は好きな印象がある.

今年の課題部門の優勝・準優勝は,東京と明石でさっきも言ったようにめっちゃでかいシステム作ってた.完成度も高いんだよ.それはわかる.東京高専は今までのプロコンで見たことのないようなものだと思った,体験した感想はゲーセンにありそう.あと,明石高専は鏡の下から青い色の光を出してカッコよくしていて,鏡のサイドに操作できるボタン(というよりシールが正しいけど)を貼っていたりして,すごくUI・UXに気を使っていたのがわかった.

自由部門の優勝・準優勝は,鳥羽商船と久留米.鳥羽商船はDrone を用いた防災減災地図作成システムで,既に地域の人と協力して始めていた.久留米は個人的にプロコンらしいなあと思うシステムで,プロジェクターで投影されている水の入った水槽に手を入れたり水滴を落としたりして,そのときにできる波紋で音を作ってキレイだね〜って感じのシステムだった.(すごい雑な解説で申し訳無さ)

あとは,ターゲットの人に実際に使ってもらうというのはすごい大事だと思う.鳥羽商船のDrone を用いた防災減災地図システムもだし,豊田高専のはたけまもるも,実際に使ってもらって検証を行って感想をもらうというのは強みになる.そういうチームは良い賞をもらうことも多いので,来年プロコンで受賞したいチームは作って終わりじゃなくて,使ってもらうところまでチャレンジして欲しいです.

まあここまで色々書いたけど,プロコンは面白いアイディアや完成度が重要って言っているんだけど,わたしの所感としては,派手でかっこいいシステム(馬鹿でかいシステム),必要性(地域を助けます!みたいな要素)の方もだいぶ重くなっていないかなーとか感じる.ま,感じるだけかもしれないけどね.


超個人的な意見

今年の課題部門に関して言えば,少しうーんといったところがあって,去年の方が課題に対してのソリューションも重要視していたと思う.今年のテーマは「スポーツで切り拓く明るい社会」なのに,「スポーツ」がテーマに見える高専が多く感じた.「スポーツで切り拓く明るい社会」っていうテーマだと,「このシステムを使うとスポーツが簡単にできる,楽しくなる,やらなかった人がやるようになる」といったようなことを連想した.おっきい体験型のシステムを作って,疑似体験ができるってのはわかるんだけど,なんかあと少し物足りない気がした.前回のテーマ「防災・減災と復興支援」とか,その前の「ICTで支える明るい少子高齢化社会」のときは,もうちょっとテーマに合ったソリューションを作っているイメージだった.来年は「スポーツで切り拓く明るい社会」だ!!!と言えるようなチームが増えると良いなあと思った.本当に個人的な意見ですね.



競技部門

大変叩かれていますね.というか,今回はあまりにもひどすぎて思いっきり外野の人が叩いていて,それが競技部門の問題に対してじゃなくて,プロコン全体も叩いてるみたいな事になっていますね.

あれらの記事や,Twitterの投稿を読むのは,わたしとしてはとても楽しくない.何も知らない人が叩いているのを見ると,過去参加したわたしはつらいし,選手たちはもっとつらいんじゃないかなあと思います.いや,叩いてる内容は,あっているところもあるんだけどね.なんか違うだろみたいなのもある.

競技部門,たまーに出場しない高専があるぐらいで,普通は各高専1チーム出るのが当たり前と化している.ルールがクソだからでなければいいじゃんという意見,まっとうなご意見だと思う.ルールは毎年変わるので,当たりハズレがあるし,わたしもサイコロ数え回のハズレ年に参加した.

けど,わたしはあのとき何でがんばっていたんだろうと考えたら,やっぱり全国高専1位になりたかった.けど,ただ1位になりたかったのかって言うと,そうじゃなくて,やっぱりプログラム書いて1位になりたかった.だから,諦めずにプログラム書いて,けど人力に負けちゃって大泣きした.

プロコン競技部門に出る人,それぞれの考えはわからないけど,わたしはプロコンに参加してよかったと思っている.チームで何度も話し合いながらプログラム書くの楽しかった.それと同じぐらい辛くて大変で,さらに優勝は人力ってなると本当に辛かったけど,やっぱりプログラム書いたことに後悔はない.東京高専や産技高専(品川)を含めいくつかの高専はプログラムで頑張っていたけど,彼・彼女らはプログラムを書き続けたことを後悔していない気がする.もちろん,運営に対して,ここまで人力が強くなるような問題にしたことは許せないと思うけど,きっと彼らはただ優勝したいだけじゃなくてプログラム書いて優勝したかったんだと思う(勝手な想像なので、違ったらごめんなさいーーー><).

プロコン競技部門に参加してる多くの人は,最強のプログラムを書いて全国1位になりたいんだと思う.人力でもいいから優勝したい!って人もいるかもしれないけど,わたしとしてはプログラム書いて優勝している大会がみたいですね.最強のプログラムよりも人力が強くなるような問題にならないように,これからのプロコン委員会には問題設定を頑張ってほしいなあと願うばかりです.

母校の先生が「問題設定のときに過去のプロコン競技部門優勝者からの意見を取り入れるってことができたら良いよね」って話してて,本当にそうなったら面白いなーって思った.過去のプロコン競技部門優勝者達,選手に近い思考ができると思うし,そういう人のアドバイスを取り入れたら少なくとも人力優勝みたいなことはなくなりそう.



最後に

高専プロコン,本当にいろんな高専生が集まって,お互いの作ったものを見せあって交流したり,アルゴリズムの話をして盛り上がったりと,本当に楽しい場です.全国各地に高専友だちを作れる機会ってあまりないし,高専プロコンで知り合った人と今でも友だちだったりするし,現役高専生はぜひ高専プロコンに参加してほしいなーと思います.

選手のみなさん、高専プロコンお疲れ様でした.